2002年???


〜 日本代表 対 ブラジル代表 match report 〜

国立競技場の聖火台の真上に真ん丸な月が昇っている。 心配された雨はすっかりやみ、気温は朝方と比べて上昇。ピッチコンディション は多少水が浮いているように見える程度でプレーに支障はなさそうだ。

スタメン発表で中田の名前が呼ばれる。すさまじい歓声。エジプト戦以来の国際 Aマッチ、イタリアから凱旋帰国した彼に対する期待の高さを改めて実感。と同 時にわたしは久々のスタジアム観戦ということで雰囲気を楽しんでいた。

今回のブラジル代表はオリンピックを睨んだラインアップ。あまりメジャーな名 前はないが、トヨタカップで大発見したヴァスコ・ダ・ガマのフェリピ、ASロー マで活躍するファビオ・ジュニオール、そしてリバウドなど、楽しみな選手が 揃った。個人的にはマルセリーニョ・カリオカが観たかったのだが、どうもル シェンブルゴ監督と折り合いが悪いらしい。とにかく、相手は常勝を義務づけら れたブラジルである。W杯決勝で敗れてもFIFAランキング1位を死守している国 だ。おのずと期待が高まる...。

日本は3バックのゾーンで守り、中盤を4枚並べ、中田がトップ下で自由に動い てチャンスを作っていくことを狙っていた。キックオフ直後は、日本が積極的に プレスをかけにいく。そして、奪ったボールを素早くゴール前まで運んでいっ た。しかし、ペースを掴むかと思った矢先、突然ブラジルのプレスがきつくなっ た。先制攻撃に目を覚ましたのだろうか。それからは終始ブラジルのペースとな る。 ブラジルは当初、それぞれが持ちすぎという感じもしたが、徐々にワンタッチ・ ツータッチでボールを回し始めた。日本のディフェンス陣も、それに応対して ウェィティングの姿勢はとるものの、どこでプレスをかけたらよいのか、全く分 からないままに、ボールはあっさりとサイドに振られたり、時には想像を超える コースにボールを通されてしまう。中盤の位置に上がった相馬がやや中に絞って ポジションを取っているのだが、ぽっかり空いたスペースを使う選手がいない。 逆にカフーにいいようにスペースをつかれていたように思う。前半の相馬のポジ ションは曖昧で観ていて非常にイライラさせられた。後半はやや修正され、積極 的にスペースに開いていたのだが、今度は周りに気づいてもらえない...。 日本は、ボールを奪った際の全体の動き出しが遅く、相変わらず左右のバランス も悪かった。マイボールにした瞬間にほぼ全員が中田の姿を探し、彼めがけてパ スを出そうとするのだが、タイトなマークにあっている彼へのパスは当然うまく とおらない。また、彼がボールを持ったとしても、サポートがなく、ボールを受 けようとする動きもほとんどないため、出しどころがないのだ。それを打開する ために後ろで持って早め早めにさばいても、今度はゴール前までの展開が期待で きない。

ブラジルは腐ってもブラジル。アジアの国に2連敗するなど、例えフレンドリー マッチであっても許されない、というプレスの煽りを受け、本気でプレーしてい たように思う。また、韓国戦では、時差ぼけ、気温差、ピッチコンディションに 悩まされたが、昨夜の代表はそれらの問題を払拭していたようだった。ブラジル を観て思ったことは、個々の選手がボールを持ったときに非常にゆとりをもって 扱っていたということ、各選手の視野が広いこと、攻撃に移ったときの全体の動 きに一体感があって非常にバランスがいいこと、である。また、時折見せる自分 の想像をはるかに超えたパス、信じられない方向への選手の動きは観ていて非常 に楽しかった。特に印象に残った選手はリバウド、フェリピ、カフー。リバウド はともすると持ちすぎという印象を与えかねないが、今日は彼の持ち味を存分に 発揮していたのではないだろうか。また、彼のコーナーキックをちょうど目の前 で観たのだが、正確なキック、素晴らしいボールの弾道にただただ唸るばかり だった。フェリピはトヨタ杯で観たほどの「おおっ」という上がりはなかったも のの、局面でボールを持ったとき、いとも簡単に抜いていく力のある選手だと改 めて思った。右にフェイントを入れ、そこから左へボールを持ちだすスピードが 実際に観ていて非常に早かった。カフーはとにかく運動量が多く、あちこちに顔 を出し、中盤にいいボールが入ったときはすぐに動き出していたのでとても印象 に残っている。

この試合で日本が得た収穫は何だったのであろうか。トルシエのやりたいサッ カーは多少見えた。ともすると強豪相手にディフェンシブな布陣で臨み、それに とらわれて何もできずに敗戦する、という最悪のパターンがある。しかし、今日 の日本代表は、DFラインを高く保ち、全体をコンパクトにすることは全体を通し て出来ていたようだ。その点は評価できる。また、個々の技術力には雲泥の差が あるにせよ、そういう布陣で臨んでもある程度の戦いができるという自信になっ たはずである。しかし攻撃に関するバリエーションがあまりにも少なすぎ、どの ようにシュートまで持っていくのか、あまり見えなかったのは不満が残る点では なかろうか。もし、中田を攻撃の軸と考えているのならば、もっと周りが彼の マークを外してあげるような動きをしなければならないし、前線に入れてさばか れたボールを中田が前を向いて持てるような状況をつくっていかなければならな いと思う。

「しかし、2002年のホスト国として日本は本当に相応しいのだろうか」そんな不 安がよぎったのはきっとわたしだけではなかっただろう。2002年まで時間はあま りない。今後の代表の発展に期待したい。


01 Aprile 1999
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