スーパースター不在のシーズン



「な〜んか、つまんないんだよね…」
これが、セリエA第31節、ユヴェントス対ミランをテレビ観戦したわたしの正直 な感想だ。普通に考えれば、ビッククラブ同士の対戦、豪華なラインアップ。彼 らのプレーがどんなものかを想像するだけで期待が高まる。超一流のプレーが連 発され、試合内容も見応えのあるものになるはず。また、今季のミランは、久し 振りにスクデット争いに参戦している。しかも首位と1ポイント差。スクデット の行方という要素も絡んで、盛り上がりをみせることは明らかである、はずだっ た。

試合は、ビッグクラブの意地のぶつかり合いとなった。前半はユーヴェが完全に 中盤を支配。しかし、マルディーニ、コスタクルタ、伸び盛りのGKアッビアー ティの好守が光る。結局ほんのちょっとのチャンスを生かしたミランが勝利を収 めた。ミランDF陣の奮闘は本当に素晴らしかった。また、前半のアンリを軸とし たユーヴェの攻撃は、実らなかったが、なかなか見応えがあった。特にディ・ リーヴィオは、積極的な上がりを見せ、ユーヴェの攻撃を支えた。素晴らしかっ た。しかし、何かが足りない。何か……それはスーパースターの存在だ。

今季は多くのスーパースター達がケガに泣いた。ユーヴェのジダン、デルピエ ロ。インテルではロナウド、ロベルト・バッジョ。ラツィオではヴィエリ、ボク シッチ…。
前述のミラン対ユヴェントスでも、先発メンバーの発表で、その名前を見た瞬間 にワクワクしてしまうスーパースターの名前はなかった。もちろん、サッカーは チーム競技である。スーパースターが一人いたところで、どうしようもない状況 はいくらでもあるし、彼がいたからといって全てがうまくいくわけでもない。し かし。試合への興味をよりふくらませる華やかな存在、彼一人のパフォーマンス が観る者全てをひきつける、そんな選手達を非常に恋しく思ったシーズンは今季 ほどなかったような気がする。

イタリアのサッカー週刊誌、『グエリン・スポルティーボ』のインタビューで、 デルピエロはこう語っている。
「デルピエロのいないセリエAは?」
− エンジョイしてください
「それどういう意味?」
− チームメイトへの僕からのメッセージです。僕が復帰するまで、精一杯楽し んでプレーしてほしい。僕がピッチに戻るまでは"やりたい放題"暴れていてほし い。ただ、いつか僕がピッチに戻った日にはきっと……。きっと今度は僕が精一 杯楽しませてもらいますよ。今度は僕がエンジョイする番です。

彼らの傷が一日も早く癒え、再びピッチで「暴れまわって」くれることを今は期 待してやまないのである。

12 Maggio 1999
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